対談 talk
対談 |
N妻: |
家造りの歴史がふくらんでくるっていうと、ヘンだけど、ただ家が建っていくだけじゃない… |
N夫: |
ま、石井君には、迷惑だったかも知れないけど(笑)、私たちは、「あ〜、時間ない。電車が来る。弁当だ!」とか言って、ベンチで食べて、薄暗い、駅の灯りがついてるぐらいのところで、三人で弁当食べて帰って来るみたいな。ふつうの設計者との関係では、そんなこと多分ありえないと思うんですよね。(笑)それは、ちょっと例外でね、一般的な話には、ならないと思うんですけど。さっきの「コンパ」っていう言葉で思い出したんですけど、私と石井君のところでは、そういう部分が「コンパ」とはまた別の形だけどもあったところが、とても楽しかったですね。 |
斉藤: |
いわゆるモノというか、形をつくるだけの関係じゃないんですよね。 うちのタウンカフェもですね、すごく、きれいなカフェなんですけども、天井を自分たちで塗ったんですよ。1日でやろうとうちのボランティアスタッフと当時幼稚園だった娘とみんなで、こんなんかぶって(ほっかむり)、脚立乗って、ペンキ塗のローラーをごろごろやったりして作業したんですよね。ギャラも何もなしで、うちがただ、予算がないからという理由で、ホームセンターまで行って、ペンキ買ってきて。全体は、1日で終わったんですけど、目地のところだけどうしてもやっぱり残って、ペンキが入らない。翌日ボクは、はずせない用事があったら、(石井夫妻)二人だけで1日かかって仕上げて頂いて…。ああいうことなんか、普通ありえないですよね。 |
N夫: |
石井君は、わりと「意気に感ず」というかそういうところの、熱い気持ちが出てくる人だから、 ま、関係がうまくいけば(笑)そういう、損得を越えた、意気に感じる、熱い部分が「もくもくSTUDIO」のウリですよ。(大笑)
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N夫: |
『我が社は、意気に感ずる、熱い思いで損得を越えて取り組みます!』とか言ったりして(笑)。 でも、ボクには、そういう感じがしましたね。石井君は、本当に。ま、友だちということもあったんだとは、思いますけど。 |
斉藤: |
そうやって、『我が社は…』とか書いちゃうとね(笑)…。実際の声だったら、…今日来た価値がありますけど。
(「やらせ」って、思われない?) |
N夫: |
「やらせ」じゃぁないですよ。(笑) |
斉藤: |
ボクの今日の仕事、いま終わったような気がしましたよ(笑)。 |
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はじめの設計事務所に依頼して、そこでうまくいっていれば、また、話は、簡単だったように思いますが、何がうまくいかなかったのでしょうか? |
N夫: |
内容的なこともそうなんですけど、予算的なものっていうのがあるわけですよね。 設計の人のやる仕事の範囲とかですね、そういうのも全然知らなかったんですが、知らないなりに、なんかちょっとどうなのかなっていうふうに思う部分があったんで、それで、石井君のところへ聞きに行ったんです。 |
斉藤: |
輸入住宅の図面を書いてもらったという時とは、違うんですね? (輸入住宅にするのをやめた後、設計事務所に頼もうと思って、知り合いの建築家に頼んだんですね。) |
石井: |
それでN夫妻の話を聞いてると、「ちょ、ちょっとまて」みたいな感じになって。要するに設計事務所、みんなやり方は、違うんだけれども、ボクなんかだと(希望を)言われたら、「じゃぁ、こういう提案をするよ」って提示する。すると相手の反応があって、「ふ〜む、そういうことか、じゃぁ、こういう案もあるよ」というふうに、依頼者から「この案」といわれたら、「もっとこういうのもあるよ」っていうプレゼンをして、何度も積み重ねていって、なんとなく、輪郭が少しずつ共通で見えるようになっていく。 |