1級建築士事務所 もくもくSTUDIO

対談 talk

建て主に聞くもくもくstudio石井啓介 家づくりを楽しむーライフスタイルを大事にした住まい / N夫妻 新しい事業に挑戦する地域をひらくショップづくり/ 港南台タウンカフェ (株)イータウン 斉藤保氏
対談

page [0] [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

N夫:

この間、たまたま、この近所のホームセンターに行ったら、このとき建てた時の大工さんたちの中で、一番下っ端だったシュウ君、「おいシュウ」って、パシリにこき使われていた(笑)修行中の子と、たまたまバッタリ会ったら、「あっ、こんにちは」とか言って、すっかり大人になってて、『家は、ちゃんと大丈夫ですか?楽しく暮らしていらっしゃいますか?』って」(笑)『また、なんかあったら、言ってください。』とか言ってくれて、見直したなぁ。あの頃、一番パシリだったんだよ。(笑)

N妻:

いつも、怒られていた子がね。(笑)
棟梁もここの在の人では、ないんだけど、棟梁とそのいとこの人かなにかと、その若い男の子と3人でやっていて、まあ、もくもくと寡黙よね・・・。

一言いいたいのは、熱い人が集まったということは、イコール頑固な人が集まったということ。それは、絶対そうだ。うちも笑いながら、頑固なこというし、(笑)で、そちらが(石井君)頑固なことは、もうご存知の通りで、Oさんだって、ゆずらないところは、ゆずらない。棟梁は、輪をかけて頑固。でも、お互い頑固だから、頑固が言ってくれるところもわかってくれる部分は、共通してたのかなって。

石井:

確かにそういえますね。頑固いいんですよ。ボクもね、経験の中で、木造の現場で、大工とね、大げんかしたことあるんですよ。そこから、ダメになったことある。それはね、「やたら頑固」なんですよ。(笑)もっというと、「ばかに頑固」なんですよ。(笑)
これになっちゃうとね、受け入れないんですよ!まったく!

うちら、頑固だといいながら、やっぱし、いいところは、もらって、それでこう「投げ返すぞ」みたいなところあるじゃないですか。そういうのではなくて、まったくのマイペース。(笑)

N妻:

大工さんは、プロ中のプロで、家が建っていくのを見ていると、柱の刻みがすごく巧妙に、こう刻んで、次にこう落とし込む・・・嵌め込んでるんですよね、釘ではなくて。だから冬になると確かに柱がカタカタカタカタしたりもするんですけども、でもそれが、今やすごい技だと石井君が言って、この刻みは、写真に撮っとくべきだよっていうぐらいのことやってくれる人なんです。それが、ストン、ストンと入っていくのを見ていると、こっちも感激して、それを言うと棟梁知らん顔してるけど、うれしかったんじゃない(笑)

石井:

ほんとに、愛想がないんだよね。(笑)

N夫:

そう、無口。

N妻:

(外壁の)南京下見張りも、ホントに、ほれぼれするくらいきれいだなって、本当に思うから、「ああ、すごいですね。こんなこと出来るんですね。」って、いうと、それでも、黙々と・・・(笑)

石井:

ボク、それで、もくもくSTUDIOって、したわけじゃないけど(笑)

N妻:

でも、多分、そういうのも、こう、『意気』っていうかね。本当に感服しちゃうっていうか、「へぇ〜!」っていうのが、いっぱいあったしねぇ。

石井:

やっぱり、冗談抜きで、『かたぎ』とか、『気質』とかそういうものだと思うんですよね。ただ、本来やるべきことをやっているだけの話なんだけどもね。

N妻:

でも、Oさんが何かの話のときに、うちが熱くなる、頑固だから、「棟梁もすごい楽しんでたよ」って言ってくれた。こういう仕事のできる現場がそうそうあるわけじゃないからーログを建てた人には、申し訳ないけどーログを組み立てること、キットになった外国から運ばれてきたものを組み立てることも大工さんの仕事なんだけど、ここは、在来工法で、材木選びから大工さんに任せたりとか、そういうことのひとつひとつが大工さんにもやりがいのある仕事っていうのを、我々が言うのもおこがましいかもしれないけれども、すごく楽しんで、出来る現場だったかなって・・・

石井:

そう、みんながやる気になってもらわないと。そうするとね、いいところがでてくるわけよね。なかなか、どれが欠けてもだめなんですよ。

N妻:

だから、本当にたまたまだったかもしれないけれど、そういう意味では、そういうことが、うま〜く行ったところなのかな。

(この辺も環境の良い富士山麓の別荘地なのに、およそ、町中にあってもいいような建物も多いようですが)

石井:

何か優先順位が違うんだよね。おそらく、価値観っていうか。家づくりの価値観というのは、自由なんだけども、出来たものというのは、みごとに1分の1で、模型じゃなくて、証明されちゃうから、家っていうのは、怖いって言えば、怖いですよ。

N妻:

一度造ったら、そう簡単にやり直してっていうわけにもいかないしね。

石井:

ボクなんかも若い時初めて現場担当したときは、怖かったよね。図面の通りに出来ちゃうんだもんね。悪い意味じゃなくてね。これでいいなと思って、いろいろこう、駆使してやってるじゃない。すると、ホントに3次元になって、出来ちゃう。それって、すごいなって。できちゃうんだなって。当たり前なんだけど。そこに、存在するわけでしょ。社会の中で。それが、初めての経験なんじゃないですか。学生のときに仲間と、空気膜構造の直径10メートルのドームをつくったけれど…あれだって、結構ショックでしたけどね。最初の現場では、世の中に建つ、存在

する建物なんだなという実感で、いい意味で、ショックだったよね。

(イメージしていたものが実際に出来た時は、どういう感じでしたか)

N妻:

面白かったのは、林を伐り開いて、そこに縄張りをして、だいたいこの位置に家を建てましょうとなって、「ここに建つんだなぁ。ここが玄関だなぁ」って、夢が始まる一歩じゃない?そしてそれが、基礎を打ちました。柱が建ちました。壁ができました。って、進んでいくと、その度に大きさが違うのね。「えっ、思ったより、小さいね。」「思ったより、やっぱ、出来てみると大きいね。」っていう、マジックよね。家を造るときの。

石井:

住宅に限らず、木造に限らず、鉄筋コンクリートでも、必ず、そういわれる。

N妻:

ねぇ、不思議よね。

石井:

ボリュームだから…、三次元だから、そう感じる。タウンカフェもね、最初、壊す前からのと、壊し始めてからのと、仕上げ始めてからとでは、多分そうイメージするはずなの。イメージするのが空間っていうのはね。これは、やっぱし、不思議なもので、人間っていうのは、正確に見てるようだけれども、思ったものが有る無しとは、別に、ボリュームのイメージは、膨らんだり、縮んだり、ってやってるっていうのはね。そうやって、繰り返すと、仕上がっていくというひとつの経緯がある。そこが面白いんだけどね。だから、それを最初からお湯かけたら、出来上がるみたいなもんだったら、面白くも何ともないんだけども。ひとつ、ひとつ、行程っていうか、プロセスがあるでしょ。それを見てれば見てるほど、この間と違うっていうか、どんどんボリュームが変わってくる。それが、家づくりに関わってる面白さだよね。

N夫:

違って見えるんだよね。なんかね。すごく。

全体的には、もうイメージ通りの家が出来ましたね。

<< 前のページ

次のページ >>

page [0] [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]