1級建築士事務所 もくもくSTUDIO

対談 talk

建て主に聞くもくもくstudio石井啓介 家づくりを楽しむーライフスタイルを大事にした住まい / N夫妻 新しい事業に挑戦する地域をひらくショップづくり/ 港南台タウンカフェ (株)イータウン 斉藤保氏
対談

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石井:

やっぱり、共同作業だし、どうしても、楽しみながらやりたいんだよね。けど、それは、そのー、ワイワイ言ってるだけじゃなくって、厳しさがあって、お金が必ず伴うからね。予算ありきだから。その中で許せる限り…。

(建て主としてのNさん夫妻は、ひとつひとつのもの、便器にしろ、窓にしろ、ついてればいいというような方ではないし。)

N妻:

それは、こだわりっていうか、さっきから言っている、こういうものがいいと素人ながら思ったら、どうしたら手にはいるのか、と。その頃パソコンも何もしてなかったので、カタログを請求して…

石井:

これがすごいんだわー

斉藤:

業者から…?

N妻:

そうです、そうです。2部ずつ請求して1冊は、石井君のところへ置いてもらって、1冊は、うちのほうで見てとか。じゃあ今日は、腹をくくって、ショールームめぐりで…照明の店とか、キッチン廻りとか、そうそう、堀商店(金物の老舗)とか、そういうところにエネルギーをかけられるかというのが、施主というか、頼む側にもあるとおもうんですね。「予算」に制約はあるかしれないけど「想い」に制約は、ないわけだから。(笑)

(すごく、楽しそうにしてらっしゃった…)

N妻:

そうそう、それは、楽しいから出来るし。何度も言うけど、可能だと思えるから、行った先で「あっこんなものもつけられる!」とか、「窓って、今まで知らなかったけど、こんなものもある」「素敵なこれは、いいけど、ちょっとうちには、高すぎるな。」とかね。いろんなものの資料集め、情報集めが家づくりの楽しさのひとつ。

石井:

なんか、こう、パネルにまとめてなかった?(笑)

(打合せの時には、プレゼンがあったという-笑-)

N妻:

雑誌の切り抜き、カタログ、それからテレビの番組からプリントしたものとか…(笑)

斉藤:

それやってる時間が、実は、一番楽しかったりするんですよね。

N妻:

主人が良く言うんですけども、私たちがこんなものと思っても、言葉で伝えて、相手が同じように思うとは限らない。それには、なるべく、現物。現物が無理なら、カラーコピーなりなんなり、カタチで見せて「こういうもの」って、うちで使えないかなとお話しすると、それならこういう方法があるよとか、こういうメーカーならそういうものが揃ってるよとプロが教えてくれる。

斉藤:

ある意味、設計士さん泣かせみたいなところもあるんですかね(笑)

設計士さん、100人いると、そんなにカタログもってこられると…、ボクもそういうタチなんで、昔、実家を建てた時があったんですけど、もう、いやがられてしょうがなくて。一つ一つは、わかるんだけども、トータルのバランスは、おかしいとか、そもそも考え方が違うとか言われちゃうと…。多くの設計士さん、そう感じていらっしゃるのではないですか。

石井:

だから、なにか見えてくるまでの過程で。やっぱり、何もない人もいるわけで、「予算これだけ」みたいな人もいるし、そうでない人もいるし、具体的な話もあるし。だから、どうイメージするのかのプロセスが違うだけの話で。

最初の段階でN夫妻のように色々な案が出てくるとある程度、ボクなりのイメージが出てくるわけで、それに対して、「じゃぁこんな感じなの?」「いや、ちょっと」そのキャッチボールがどんどん出来やすいっていうのがあって。で、それには、最終的に必ず、お金が伴うわけだから、これは、できるものと、できないもの、それに近いものと、かなり近いものとみたいなもので、まとめていった中で、それでも、もう1回見直すと、これはさっきも言ったように「これは、あきらめない?」「これ、やっぱり優先するけど、これあきらめない?」っていうことで、全体まとめる。

斉藤:

施主も家族4人いると一枚岩でないことが多くて(笑)、親父は、これっていうんだけど、こどもは絶対いやだとかいうこと結構あるんじゃないですかね。

N夫:

ぼくたち夫婦は、1枚岩だから。(笑)
(住宅は、家族の意見が食い違うことは、多いですね。)

石井:

だから、ボクなんか見方を変えると板挟み状態。それは、いい意味でね。現場に入るまでは、この関係なんですよ。「施主」と「設計者」みたいな。ところが、現場が始まると今度は、「施工者」が入ってくるわけですよ。三角関係になる。三角関係なのか1対2なのかみたいなのは、大きな話で、ボクなんかは、その三角関係へ持っていくんだけども、実は、その間、ボクは、必ず真ん中にいるはずなんだけど、それぞれが、言う相手がいないと誰かのせいにしないと前に進まないことがあるんですよ。ものによっては。その時にね・・・

N妻:

悪者になっていいよっていうね・・

石井:

そうそう、それで、前に進めばいいわけで。なんかね、そういう立場でもあるのかなって。結局何かっていうと、現場が始まるというのは、そういうことなんだよね。止まっちゃったら、困るのね。うん、止まっちゃったら困る。それをどう順調に進ませるのかっていうのは、やっぱりそれだけ、立場の違う人たちが、たまたまその時期に同じ現場で、「建て主」であるにもかかわらず…、「設計者」であるにもかかわらず…、「施工者」であるにもかかわらず…、実は、共有しているのですね。だからね、そこで、いかに現場をスムースに進ませるかっていうのも、監理の上で、結構大事なのね。でも、それは必ず住宅だけでなくどの現場でもあるのですよ。
つい・・・先日、竣工したオフィスビルがあるんだけど・・・、結構板挟み状態っていうか、言葉悪いけど、それでも、かなり順調に進んできたっていうのがあるから、これは、規模とか種類っていうのは、関係ないんじゃないか。やっぱ、そういう共同作業なんですよね。

現場では、多くの職人や業者が出入りするし、時間もかかる。だから、今時、そういうような代物の建築っていうのは、結構面白いんですよね。ほかの職種でも同じかもしれないけど、それがひとつひとつ目に見えてくるっていうかね。なかなかそういう意味では、ストーリーを見いだすまでが大変だ。見いだしてから、今度は、形にしていくのが大変だし、で、今度は、住んでからメンテナンスしていかなきゃいけない、そういう意味じゃ、単なる器じゃないね、建築は。

N妻:

結局、この家の施工は、ここの別荘地を販売管理してもらってる所の建設部というところに頼んだんですよね。で、そこと、石井君と我々と話す機会をいっぱい持った(そうね。)まあ、持てたってことがいいのかもしれないけど。うちとしては、すごく恵まれたなっていうのは、思いますね。言ったことをダメですこれは無理ですといわれたこともあったけれど、なるべくこっちの望みをかなえようというふうに現場責任者のひともうごいてくれたし、そこから奥のことは、わからないけれども、現場責任者になった方も、意気に感じてくれたのかな。

勝手な思いこみかも知れないけれど、仕事だからとはいえ、楽しんでくれたかなっていう感じも。家が出来上がった後も、いまだに、いい関係を保ってる。

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